私が議員になる前、毎週のように大仙公園の横にある図書館に通って、堺の歴史を調べ直しました。地域の方々からお話を聞くと、昔の堺のことがよく出てきます。黄金の日々という大河ドラマの舞台となるほど栄えた町であったこと。大浜に海水浴場が合って、水族館や歌劇団が潮湯があったこと。昔をなつかしむ声、誇りに思う声が多く聞かれます。
私は堺市民です。親が転勤族で何度か引越しをしていますが、今は堺に住んで13年目。この堺に骨を埋めるつもりです。昔はすごかった、良かったは記憶として留めておかなければいけません。そして今は、私たちはもちろん、子供たちの時代のためにこれからの堺を良くしませんか。
日本一栄えたとも言われた中世の堺は、堺市ではありませんでした。堺市は明治時代にできました。昭和に入るまでは、今の堺区よりもずっと狭い範囲でした。大きくなるとまるでずっと昔からそうであったように思い込んでしまいますが、そうではありません。時代時代によって、必要とされる行政の仕組みは変わるんです。堺の言う名前は残ります。それに続く「市」という名前にこだわるあまり、このまま衰退を続けては元も子もありません。
東京一極集中、と呼ばれてまるで東京が悪者みたいに言われますが、東京は悪くありません。この堺が、大阪がどんな努力をしてきたのか。これまでの政党がどんな政策を行ってきたのか。まともに機能していたら大阪維新の会なんて必要ありませんでした。でもそうじゃないから、大阪をどうするか、という意見が分かれるような大変な行動をしているんです。全ては今だけではなく、次の世代の堺・大阪のためです。今の大阪の状況を、これ以上目を背けて逃げるんじゃなくて、未来のために立ち向かわなければいけない時が来ています。活気がある堺と、活気が無い堺、どちらが良いですか。
私は堺が大好きです。堺には大きな魅力があると思っています。それを発揮できないのが悔しくてしかたありません。伝統産業も、色々な製造現場で見学をさせていただいたりお話をお聞きしました。大阪市にはない優れたものが堺にはあるんです。吸い取られる、と被害妄想におちいるのではなく、堺の魅力を存分に発揮して大阪はもちろん、国内、世界の活力を呼び込むことを考えませんか。
特にこの堺駅周辺は大きなチャンスがあります。関空から一本で、20分少々で来ることができるんです。大阪市内に寄る前に、まずは玄関口として歴史があるこの堺で、中世の環濠都市・堺や仁徳天皇陵を見てもらう。できれば一泊してもらって、堺の安くておいしい食事も楽しんでもらう。国内からも海外からも人を呼込む。大阪全体の視野で考えることでこんな戦略も実現が可能になるんです。
具体的には、積極的に大阪府市との連携を働きかけていきます。大阪観光局のように、一体化して行ったほうが効果が見込めるものは連携をすべきです。「堺のことは堺で」なんて、できることは限られている。意地を張って殻に閉じこもるべきではありません。
河盛安之介さんという堺市長を、皆さん知っていますか。その河盛市長が最初に市長を務めたのは80年前以上も前でした。その時の市長就任演説が印象的です。
「堺市の問題は大阪市の存在を考慮に入れずして考えることはできない。」「マイナス面もあるが、恩恵も多くある。」「特に市民の日常生活においては、ほとんど一体の関係に置かれている。」「連携を保って共存共栄に進めなければならない。」
4年前の大阪府知事・市長のW選挙で維新の候補を選んでいただいて、大阪府と市の間には「統合本部」が設置されて、二重行政や類似する仕組みを見直してきました。話し合いで解決するといいながら、維新以外の政党は反対をすることが多く前に進まないことが多くあります。新聞では、必要なことも維新の手柄にしたくないと書いてありました。事実だとしたら馬鹿げたことです。それでも、これまでの行政の無駄を省くために、大阪府と大阪市の間では一歩ずつ進めています。
3月17日の大阪府議会で、大阪都構想の設計図とも言える、協定書が承認されました。5月17日に大阪市民を対象とした住民投票が行われることが決定しました。賛成が半数を上回れば、名称の問題はありますが、大阪全体の政策と住民に身近な政策を分けて、成長戦略を一本化して決断力とスピードを兼ね備えた大阪都と、区長を選挙で選んで住民の声を届く仕組みである特別区になります。
堺は、残念ながら統合本部への参加すらしていません。それでも私は大阪府議会議員ですから、堺が衰退ではなく成長をしていくために、大阪府・市との連携を行い今できるベストの政策を目指していきます。皆さん、「堺マニフェスト」という冊子をご覧になったことがありますか。これは私たち大阪維新の会の堺選出の議員が、それぞれが堺市民の一人として、どうすれば堺が活力を取り戻すことができるか、子供や孫の世代に誇れる堺を受け継ぐことができるかを考えました。ここにいる各議員の事務所にありますからぜひ一度手に取ってご覧ください。
物事を動かすにはタイミングが重要です。今が、このまま衰退を続けるか、それとも前進するかの変わり目です。勇気を出して現状を変えるための一歩を踏み出し、私たちの手で大阪・堺の輝く未来を作りましょう。情熱と信念で大阪再生、堺に活力を!頑張ります。ご清聴ありがとうございました。
(平成27年3月30日 堺駅前)